2021年3月21日(日)岩手県盛岡市にあるアイーナで第4回メイカー塾(主催:ファブテラスいわて)が開催され、講演をさせて頂きました。
なんとも大々的なチラシ!!
ありがたいのですが、ちょっと恥ずかしい!笑
当日の会場にもありました!
今日は日曜日♪ということで、堅苦しい話しは、できるだけしないようにと思いまして、タイトルも緩い感じにしたくて、「ラブ・プリンターは突然に 3Dプリンタに恋をして」
3Dプリンタについて恋愛ドラマティック風に私が3Dプリンタと出会って、付き合いってきた中での話しをさせて頂きました♪
ざっくりと話した内容を記載すると、
はじめて3Dプリンタと出会ったのが、2008年、3D CADに興味を持ち、近隣で開催されていた3D CADのセミナーに参加した際に展示されていた数百万円以上する3Dプリンタであった。その当時は今のように数万円程度で買える3Dプリンタはなく、高価な道具であった。自分のような貧乏人には買えない、縁のない道具と思っていたのだろう、どんな顔(形)でどんな性格(正確・精度)の3Dプリンタだったのかまったく記憶にない。
こんな話しから始まり、
それから3年後、まさか3Dプリンタを使うようになるとは…。3Dプリンタは突然にやってきた。当時、イスラエルのobjet社(現:Stratasys)で販売していた「objet30」が職場にやってきたのである。当時で400万円くらいするインクジェット式の3Dプリンタ。ノズルから光硬化性のアクリル系の樹脂が噴射され、紫外線で固めながら積層していくもので、積層ピッチが28μmと細かく、曲面が綺麗にできるのが特徴。私は、この3Dプリンタに恋をした。3Dプリンタブームより、ちょっと早い初恋である。
初恋の味に関して、材料や強度、サポート材の除去、メンテナンスについて話しをさせてもらいました。
第1章:ラブ・プリンターは突然に
3Dプリンターと付き合ってみてからいろいろ分かることが多かった。紹介されて付き合いはじめた頃は良いところだけ見えていたが、3Dプリンタの本当の姿が徐々に分かってきた。
誤解して欲しくはないので補足すると、材料費が高額で、サポート材除去の苦労などはあったが、設計した3Dモデルが素早く形にできるのは、すごく魅力的であった。なので、私が3Dプリンタを嫌いになることはなかった。
そして、第2章!
第2章:3Dプリンターブーム 2013年~
初恋の苦い味を感じてから3年後、3Dプリンタブームがやってきた。3Dプリンタの技術の一部が特許切れとなり、数十万円で買える安価な3Dプリンタが数多く発売された。新聞やテレビのニュースでも話題となり、「魔法の箱」のように何でもできる機械と報道された。私はすでに恋愛経験があったので、ブームに流されることはなく、冷静であった。ちょっとした講演を頼まれることもあった。そこでは3Dプリンタの良いところ、悪いところを正直に話させてもらった。
新しく安価な3Dプリンタ「UP!Plus2」を導入しましたが、失敗も多かったと正直に話させてもらいました。
そして、3Dプリンターと上手く付き合う方法について説明しました。
段取りで成功の80%は決まります。
第2章まとめ
お金のかかる恋愛と、かからない恋愛
初恋のobjet30の場合は、お金はかかるが造形の失敗は、ほとんどなく、安心して夜に動かして朝来たら当然のようにできていた。しかし、UP!Plus2は、朝会社に向かうときに上手くできているか不安になる。お金をかけて不安を減らすか、お金をかけずに苦労するかの選択をしていた。
恋愛って難しい・・・笑
最後、第3章!!
第3章:大恋愛スタート
はじめて3Dプリンタと出会って10年経った今、今度は私の住んでいる北上市が国の補助金を活用して、なんと、ストラタシスの約5,000万円する世界初のフルカラー&マルチマテリアル3Dプリンタ「J750」を購入し、私の働いている会社に設置がされた。36万色以上の鮮やかなカラーを再現。カラー樹脂と透明材料やゴムライク樹脂をプラスすることで透明度や硬さの調整が可能で、完成品と同等の試作品の製作が可能だ。材料費は高いが何でもできる夢のような箱である。これをどう使いこなしていくか、私の大恋愛のはじまりである。
3Dプリンタの造形方式の種類や選定のポイントについても少し話させてもらいました。
事例についても少しだけ紹介!
そして、個人でも3Dプリンターを6台持っていることも!
どんだけ好きなんだ!!笑(自分で突っ込むw)
コロナ禍では、3Dプリンタを使って、マスクやフェイスシールド、イヤーガードをつくった話しもしました。個人で趣味で買った3Dプリンタが役に立ったわけです!!
そして、最後に
3Dプリンタは、万能の技術ではありません。
装置は高額で、材料も特殊である為、製品製造に用いることが、必ずしもコスト削減や工数短縮に直結しないかもしれません。しかし、一方で3Dプリンタでしかできないこともあります。従来の工法では不可能な形や複雑な形状を容易に製作できます。3Dプリンタの有効活用方法を考えてみましょう。
今後の恋の行方は? 3Dプリンタの未来は?
最後に3Dプリンタの未来について妄想したいと思う。今現在も3Dプリンタは、製造業における試作用途以外にも、建築土木関係や医療、介護、食品、宇宙関係など幅広い分野で活用が進んでいる。3Dプリンタで家を建てたり、橋をかけたり、また医療分野でも、人の細胞や血管など、今後当たり前のように作る時代がやってくるかもしれない。
そして、私が予想する未来は、人工知能が搭載された3Dプリンタである。人工知能が3Dプリントのノウハウは持ち、造形方向やスピード調整、材料の選択などを行ってくれる。今、人が苦労して行っているところを人工知能がやってくれるようになるのではないかと思っている。
また3Dプリンタ以外のCADやCAE、CAM、3Dスキャナなどのソフト・ハードも発展することの相乗効果により、今後のものづくりは大きく変わってくると思う。Youtuberのような新しい仕事も生まれてくるだろう。
大量生産品を購入する時代から、自分の欲しい形、合う形がオーダーメイドで買える、作れる時代になっていくだろう。本当に未来が楽しみである。私の妄想はまだまだ膨らむが、この辺で終わりとさせていただく。実は妄想の未来は、すぐ近くまできているかもしれない。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!!
今回の発表資料は、SlideShareで公開をさせて頂きました!
ご興味のある方は見てみていただければと思います。
今回、メイカー塾を主催した「ファブテラスいわて」のHP
https://fabterrace.site
追記:2021年5月10日
ファブテラスいわて様のYouTubeチャンネルに講演の様子の動画がアップされました。